新車購入時に、ディーラーで車にコーティングを勧められることがあります。キレイなのにコーティングする必要があるの?ディーラー以外ではどこで依頼できるの?と、疑問に感じる人も少なくありません。
結論から申し上げますと新車時にコーティングしない場合、紫外線による劣化や汚れの固着、シミ汚れの付着など車に対して様々なダメージが加わりやすくなります。
当記事では、新車コーティングの必要性やコーティングのタイミング、施工できる場所(ショップ)など、コーティングプロ歴18年の筆者が詳しく解説していきます。この記事を読んで豊かなカーライフが実現できることを願っております。
著者情報
株式会社カービューティーアイアイシー
代表取締役社長 舊役 哲史
2008年にガラスコーティング専門店の株式会社カービューテイーアイアイシーに入社
現在まで2000台以上のカーコーティング,ガラスコーティングの施工実績を持ち、特に輸入車などの施工実績が豊富である。カーコーティングのオプション作業としてホイールコーティングの実績も豊富で様々な知識と技術力を有す。
運営会社: カーコーティング専門業者のIIC
目次
新車のコーティングは必要?
必ずしもすべての方が新車のコーティングが必要とは限りません。「愛車を新車のような状態をキープしたい」「洗車を楽にしたい」と思っている人は新車時のコーティングをおすすめします。
一方で、「愛車の見た目はあまり気にしない」「洗車はほとんどしない」と思っている方は、コーティングをおすすめしません。その理由を詳しく見ていきましょう。
洗車の有無 車の美観 新車のコーティングがおすすめの方 洗車する(月1回以上) 美観を保ちたい 新車のコーティングをおすすめしない方 洗車しない(数カ月に一度) 美観は求めない 新車時にコーティングした方がいい人
コーティングは、ボディ表面に撥水性のある強固な被膜をボディ表面に形成させることで、汚れの固着や線傷を防ぐ効果があります。また、下地処理(磨き作業)を施すことにより表面が滑らかになり、ボディに美しい光沢も備わります。
汚れが固着せず、ボディの水滴も簡単に拭き取れるため、楽にお手入れできることも大きなメリットと言えるでしょう。新車時にコーティングをおすすめするのは、愛車を新車のような状態で長く保ちたいと考えている方や洗車時のお手入れを楽にしたいと考えている人です。
カーコーティング施工により、水弾きが良くなり洗車時の汚れ落ちが格段に楽になり、コーティング膜が塗装面を覆うことで愛車を紫外線や酸性雨、擦り(摩擦)などから守るため新車のような状態を長くキープしやすくなります。
参考になる記事:ガラスコーティングとは効果や価格,お手入れ方法をプロが徹底解説
新車時にコーティングしない方がいい人
新車時にコーティングをおすすめしないのは、普段洗車しない方や車の美観にこだわりがない人です。コーティングを施工しても、定期的に洗車しない場合は、汚れがコーティング膜に蓄積してしまいすぐにコーティングが剥がれてしまいます。効果が数カ月で落ちてしまうため必要はないと言えるでしょう。
本来であれば、この内容を事前に伝えるべきであるものの、利益を優先するあまり「艶が半永久的に続く!」「コーティングが汚れを弾くから洗車は不要です!」と、過度な営業をしているディーラーも中にはあります。結果、高いお金を払ったのに半年も持たないうちに効果がなくなり、施工を後悔する人も少なくありません。
参考になる記事:車コーティングの必要性は人それぞれすぐわかる!あなたはどっち?
参考資料:アンケート調査実施!!つけるか迷うカーオプション6個の装着率と人気のカーアイテム11個まとめ新車へのコーティングを後悔しないために知っておくべきこと
新車・中古車関係なく、愛車をキレイな状態で維持するためには、コーティングが欠かせません。しかしながら、前述した通り全ての人におすすめするわけではなく、効果やお手入れについて理解したうえで施工しなければ後悔してしまう可能性もあります。
ここでは、新車にコーティングする前に知っておくべき4つのポイントについて、詳しく解説していきます。施行メニューや施工店に関係なく共通する内容ですので、事前に理解しておくようにしましょう。
施工店によって仕上がりや寿命が大きく変わる
コーティングは、施工店によっても仕上がりや寿命に大きな差があります。扱っているメニューが違うのはもちろん、スタッフの技術や施工設備に大きな違いがあるためです。
特に影響を与えるのが「下地処理作業」で、ただ洗車するだけのお店とボディの状態をチェックしたうえで鏡面磨きでボディを整えるお店では、仕上がりや寿命に大きな差が生まれます。また、コーティング剤を塗布する環境や、乾燥設備によっても被膜の強度に差が生まれます。
施工メニューだけでなく、コーティングを依頼するお店にもこだわるようにしましょう。施工店の主な特徴は以下の通りです。
施工店 施工レベルや価格の特徴 施工費用 ・ガソリンスタンド 施工費用が非常に安い一方で、最低限の下地処理しか行わないため、仕上がりや効果は良くない 3,000円~3万円 ・カー用品店(オートバックスなど)
・ディーラー品質の高いコーティング剤を扱っているものの、下地処理にかける時間が短く、技術も中程度レベル 5万円~15万円 ・コーティング専門店 要望に応じた複数のコーティング剤を扱っており、下地処理のレベルが高く、施工設備も充実している 10万円~25万円 あくまでも傾向であり、専門店でも下地処理のレベルが低く施設が充実していないお店もあります。お店のサイトで施工事例の詳細やアフターケアの内容、利用者の口コミを調べるなどして、優良なお店を選ぶようにしましょう。
あまり洗車などが得意ではないものの、コーティング効果を実感してみたいという場合は、費用を抑えられるガソリンスタンドでの施工やDIY施工がおすすめです。
アフターケアがない店は要注意
コーティングを長持ちさせるには、日頃のお手入れとは別に、定期的なメンテナンスが欠かせません。メンテナンスでは少しずつ劣化してきている被膜をケアしたうえで保護します。これにより撥水効果や艶が復活するだけでなく、寿命を長くできます。
施工するメニューの品質に関係なく、アフターケア(メンテナンス)は、コーティングにとって必要不可欠な存在と言えるでしょう。そのため「高品質だからケアは必要ありません」「剥がれた場合は再施工です」と、施工後のアフターケアについて詳しく説明しようとしなかったりするお店はおすすめしません。
また、被膜の状況などによって最適な作業内容が異なるため、メンテナンスメニューを複数用意しているお店がおすすめです。施工時には、コーティングの品質保証についてもチェックしておきましょう。
キレイな状態を維持するにはお手入れが必須
コーティングは、ボディの保護効果があるもののお手入れが必要ないわけではありません。花粉や黄砂など汚れが被膜の上に蓄積すると劣化が早まります。理想は1~2週間に1回、最低でも月に1回の洗車が必要です。
コーティングにより汚れが固着していないため、そこまで汚れていない場合は、ボディの上から下の順番で強めに水をかけて拭き取るだけでも問題ありません。鳥糞に関しては、強い酸性物質を含むことから、付着した場合はなるべく早く大量の水をかけて洗い流しましょう。
自動洗車機はブラシが適切に管理されておらず、ボディが傷だらけになる可能性があるため、おすすめしません。どうしても使用したい場合は、コーティング施工車用の「ノンブラシタイプ」の洗車機を選びましょう。
完全にキズや雨染みを防げるわけではない
2024年現在、主流となっているガラスコーティングは、強固なガラス質の被膜を形成し、汚れや紫外線などからボディを守ります。ただし、完全に線傷や雨染みを防げるわけではありません。前述したとおり、定期的なお手入れも必要です。
水を強く弾くことから、細かい水玉ができやすく雨染みができやすくもなります。シミが目立ちやすい濃色車の場合は、水玉の数を減らしシミの発生を防ぎやすくする「親水」タイプのコーティングも検討してみましょう。
よくある相談内容の1つに「飛び石の防止」がありますが、ガラスコーティングでも飛び石被害の予防効果は低いと言えます。
自分でのコーティング施工と専門店でのコーティング施工の違い
近年では、コーティングの改良が進み、誰でも気軽に施工できるDIY用の商品も多く販売されています。施工費用を抑えられることから、自分でコーティングする人も増えてきています。
ただし、DIY施工と専門店での施工には違いがあり、内容について理解していないと仕上がりや効果に満足できない可能性があります。ここでは、各施工の違いについて解説していきます。
自分でコーティングするメリット・デメリット
市販のDIY用コーティングを使い、自分で施工するメリット・デメリットは以下の通りです。
【自分でコーティングするメリット】
・お店に依頼するよりも安く施工できる
・自分自身で施工することで車に対する愛着が高まる【自分でコーティングするデメリット】
・施工環境が整っておらず、寿命が短くなりやすく施工に失敗するリスクもある
・市販の商品は施工のしやすさを最優先にしており、プロ仕様の商品よりも品質が低いものが多い
・磨き作業など、徹底した下地処理ができないため専門店のような仕上がりにはならない
・被膜の状態に応じた適切なメンテナンスが受けられない自分でコーティングする一番のメリットは「施工費用が抑えられる」ことで、溶剤や施工に必要なグッズを一式そろえた場合でも1万円以内におさえられます。ディーラーや専門店での施工は5~20万円かかるため、かなりお得と言えます。
自分でコーティングする一番のデメリットは「施工の失敗リスクがある」ことです。施工性を良くしたものが多いものの、施工設備や環境が整っていないため、ムラやギラツキにより見た目が悪くなってしまう可能性があります。一度被膜が固まってしまうとなかなか落とせません。
また、施工性を最優先にした商品が多く、徹底した下地処理もできないことから、仕上がりや寿命に関してはお店に依頼した場合と比べて悪いと言えるでしょう。
専門店でコーティングするメリット・デメリット
専門店にコーティングを依頼するメリット・デメリットは以下の通りです。
【専門店でコーティングするメリット】
・施工レベルが高く美しく仕上がり、コーティング効果を長く実感できる
・ムラやギラツキの心配がなく、不備があっても無償でやり直してもらえる
・普段のお手入れや何らかのトラブルが起きた際に対応してもらえる
・ボディ状態に応じたアフターケアを受けられる
・施工の手間がかからない【専門店でコーティングするデメリット】
・施工費用として10~25万円ほどかかる
・施工レベルの低いお店もある専門店での施工は、下地処理のレベルが高く、機材や設備も整っているため、高品質な仕上がりと効果を実感できることが一番のメリットと言えるでしょう。中古車と比べると分かりにくいものの、新車でも施工前と施工後で見た目に差がでます。
施工後のアフターケアも充実しており、何らかのトラブルが起きた際にも相談して対応してもらえます。
一方で、DIY施工よりも費用が高額になることがデメリットと言えます。ちなみに「専門店=高額」というイメージを持たれがちですが、さまざまな商品を扱っており、ディーラーよりも安いメニューもあります。中には機材や設備が整っておらず、品質の低いお店もあるため注意が必要です。
新車のコーティングが依頼できるお店と費用相場
新車のコーティングは主に、カーディーラー、カー用品店、専門店で施工できます。各店舗で特徴や費用相場が異なりますので詳しく見ていきましょう。
店舗 | 費用相場 | 特徴 |
カーディーラー | 10万~20万円 | ガラスコーティングなどのコーティングを取り扱っておりコーティングの寿命は3年~5年となります。新車納車時にコーティングが施工できるといったメリットが得られます。 |
カー用品店 | 2万~8万円 | 比較的安価な施工費用でコーティングを施工できることがメリットです。ポリマーコーティングやガラスコーティングを取り扱っておりコーティングの寿命は1年~3年となります。 |
コーティング専門店 | 10万~30万円 | セラミックコーティングやガラスコーティングなど特殊なコーティングを扱っており、寿命は5~10年となります。コーティング後の熱乾燥や施工環境がよく、仕上がりや耐久性のよいコーティングが施工できます。 |
参考になる記事:ディーラーコーティングの実態と専門店コーティングの差は歴然
参考になる記事:ガソリンスタンドのガラスコーティングって大丈夫?費用対効果とは?
参考になる記事:コーティング専門店おすすめ9選と信頼できるショップ7つの見極め方
ボディ以外の施工
新車を買ったらボディコーティング以外にもプラスティックやガラス、ホイール、ヘッドライト、レザーシートなど様々な箇所にコーティングを施工できます。
窓ガラスコーティング
窓ガラスコーティングをすることで油膜の付着を防ぎ、常に良好な視界を保ちます。ゲリラ豪雨のような雨でもコーティング膜が水滴を弾くため雨天走行の安全性を確保します。
関連記事:フロントガラス撥水コーティングの料金・価格を種類別に徹底比較
ホイールコーティング
ホイールはボディよりも汚れやすく泥汚れや油汚れ、ブレーキダストなど様々な汚れが固着します。ホイールコーティングを施工しておくことで洗車が楽になり新車のような状態を長くキープすることが可能となります。
関連記事:ホイールコーティングの必要性とはコーティングのプロが解説
ヘッドライトコーティング
ヘッドライトはポリカーボネートの素材で作られており、このポリカーボネートは紫外線による劣化が受けやすくなります。ヘッドライトが紫外線で劣化すると黄色く黄ばんでしまうため、新車時にコーティングにより黄ばみ防止を行う必要があります。
関連記事:新車の状態を維持できる!ヘッドライトの黄ばみを予防する3つの方法
レザーシートコーティング
レザーシートは摩耗により亀裂が入ったり、ジーパンなどの色移りが発生しやすいため経年劣化していきます。新車時にコーティングしておくことでジーパンの色移りや摩擦による亀裂などを予防することが可能となります。
関連記事レザーシートコーティングの必要性と施工価格を解説
プラスティックコーティング
新車時は綺麗でも、紫外線による劣化でプラスティックパーツ(未塗装樹脂パーツ)は白く白濁してしまいます。新車時にコーティングをしておくことで紫外線による劣化を防ぎ未塗装樹脂パーツの白濁を抑えることが可能となります。
関連記事:樹脂パーツの劣化を防ぐコーティングと白濁した樹脂を復元する方法
新車コーティングでよくある質問
最後は新車のコーティングに関する、7つのよくある質問に答えていきます。
- コーティングの具体的な効果やメリットは?
- 新車でコーティングしたら何年くらい持つ?
- 新車でコーティングしている人の割合は?
- 新車コーティングをするベストなタイミングは?
- 新車に適したコーティングの選び方は
- 新車に自分でコーティングしても大丈夫?
- 新車にコーティングしないとどうなる?
コーティングを施工するかどうかを判断するうえで、役立つ内容ですのでぜひ参考にしてみてください。
コーティングの具体的な効果やメリットは?
- 新車以上に艶(光沢)が増す
- 洗車が楽になる
- 耐擦り性能に優れる
- 紫外線による色褪せや剥離を防ぐ
- 酸性雨や黄砂による劣化を軽減
ただし、商品によって効果や寿命、施工料金が異なるため、目的に応じたものを選ぶ必要があります。まずは専門店のスタッフに相談することをおすすめします。
新車でコーティングしたら何年くらい持つ?
新車でコーティングしている人の割合は?
新車コーティングをするベストなタイミングは?
新車時のコーティングでベストなタイミングはディーラーで納車されてから2週間以内が理想です。理由は2週間以上経過した車両は紫外線によるダメージや酸性雨によるダメージが加わり、下地処理などの費用が発生する場合があるからです。
新車時の綺麗な状態でコーティングを行うことにより、余分な下地処理を避けることが可能となり、コーティングの施工価格を安く抑えやすくなります。
新車に適したコーティングの選び方は?
詳しくは、下記のページを参考にしていただき車のコーティング種類を決めることをおすすめいたします。
参考になる記事:車のコーティングは5種類!コーティング種類による効果をプロが解説
参考になる記事:車のコーティングの選び方が10秒でわかるフローチャートをプロが解説
新車に自分でコーティングしても大丈夫?
DIYでコーティングを選ぶなら、楽天やAmazonなどのサイトで口コミを参考にしましょう。また、当店では、通信販売でガラスコーティング剤も販売しておりますので、下記の通販ショップもご検討いただければと思います。
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新車にコーティングしないとどうなる?
まとめ
新車のコーティングは全ての人に必須というわけではありません。愛車を新車のような状態で長くキープしたいと考えている場合は、コーティング施工をおすすめします。カーコーティングは、高額な費用が発生するため、予算と相談して施工するかどうか決めましょう。
また、コーティングは施工店によって特徴がことなるため、コーティングに求める効果や予算、寿命に応じてコーティングを選ぶことが大切です。今回の記事を読んで豊かなカーライフが実現できることを願っております。
〈次に読むべき記事:セラミックコーティングの費用,効果,を徹底解説,3つの注意点〉